流血

数週間前の話だが、宮崎駿の新作である君たちはどう生きるかを観た。眞人が石で自分の頭を殴りつけ、止めどなく血が流れ続けるシーン。その時点で、この映画は私の中で決定的になった。風立ちぬでは終に見せてくれなかった宮崎駿の内面。私が宮崎駿の作品が好きな理由。それが直接的に噴出した瞬間のように思えた。短絡的だが、死に際のユパが血はむしろそなたを清めたとクシャナに伝える場面が脳裏を掠める。脈絡も、文脈も、まぁ適当に用意しておいてくれるだけでよい。ただ、その瞬間的衝動が見事に描かれた作品を観ると、それだけで出会えてよかったと思える。そんな観方ばかりしている。